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  1. あの人に聞きたい!

あの人に聞きたい

質問

「できない言い訳の文化ができてしまっている…」
私はとあるホテルの部長をしておりますが、部内会議をすると皆「できない言い訳」ばかりの会議になってしまい、困っています。
大先輩の皆様がGM、もしくは部門長の時、このようなことはあったのでしょうか?
また、そういったときに、どのようなアプローチをすれば前向きな会議となるのでしょうか?

回答者

飯島幸親氏
飯島幸親氏
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田中勝氏
田中勝氏
株式会社 MT J-ホスピタリティ
代表取締役
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飯島幸親氏 回答

言い訳の文化…
今においてもこのような現状が続いていること自体が不可解でとても残念です。
部門長と内部会のあり方は下記の通りです。

積極的な文化を作り上げること

  • ・グローバリゼーションに乗り遅れないためには、「できない」でなく、積極的な決断と「まずやって見ること」の行動が不可欠
  • ・ただできないと言うのではなく、建設的な「代替案を提案する職務上の責任」が各自にあることの自覚が必要
  • ・各自のジョブのデイスクリプション(職務分担)を規定して、評価制度の中に“常に現状を向上させる”の項目を重視すること
  • ・GMのリーダーシップが常に前向きで行動派的な社風とエグゼクテイブ・メンバーへの十分な理解とサポートが必要
  • ・決断、行動によってのネガテイブな結果には部門長が責任を取ること
  • ・結果次第によってインセンテイブ

会議の基本

  • ・前もって会議のアジェンダなどの案件と時間を決めておき、必ず下調べをして参加すること
  • ・通常の会議時間は最長で一時間を目安にすること(プロジェクターやフリップチャートの活用が分かり易い)
  • ・課題や問題案件は、その目標・ゴールが何かを参加者全員がはっきりと把握すること(3本柱の法則の数値目標に基付いて)
  • ・とかく日本には上司としての権限を行使する文化がありますが、相手に聞く耳を持つ、「あなただったらどうするか?」を聞くこと
  • ・会議の発言内容は記録して出来る限りガラス張り、オープンにすること
  • ・時にはGMや他部所の部長、HRのオブザーバー参加が必要
飯島幸親
プロフィール
飯島幸親(いいじま ゆきちか)
1942年東京生まれ。成城大学経済学部卒業後、帝国ホテル、札幌グランドホテルなどで料理人としてのキャリアをスタート。 センチュリープラザホテル、ベルエア・カントリークラブなどを経て、シアトルマリオットホテル、サンディエゴ・マリオットホテル&マリーナで総料理長を歴任(サンディエゴ・マリオットホテル総料理長時代はウエストコーストの38ホテルのリージョナル・エグゼクテイブシェフ)。
マリオット・コーポレート・シェフ・グループ・アドバイザリー・ボードメンバー。マリオット・インターナショナル・インコーポレーテッド日本・韓国担当リージョナル・マーケット・オペレーション部長、岐阜および札幌のルネッサンスホテルで総支配人代行、JWマリオットホテル・バンコク、ワイキキ・ビーチ・マリオットホテルのオペレーションディレクターなどを歴任。
2006年横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズに着任しホテル運営のグローバル化と社員を大切にする会社作りに貢献。結果として健全な利益体制基盤の確立(1年目の5億円目標を達成)現在は日本とサンディエゴを行き来しながらこれからの世界でグローバルに活躍できるホテリエを育成するために精力的に活動している。

田中勝氏 回答

出来ない言い訳? 私には、その意味が分かりません。というのは、私が現役の時には、我々のチームの辞書には「出来ない」という言葉はありませんでしたから。

上司(リーダー)がチームメンバーから「出来ない」と言われたら、厳しいコメントかも知れませんが、リーダーとして失格ではないでしょうか?
船の船長がクルーから「出来ません」と言われたら、船は大変なことになるのと同じです。

「出来ない言い訳」に会議が終始するには、多分、次のような理由があるのでは、ないでしょうか?何か当てはまることがありますか?

  • (1)会議の目的が明確でない。事前に議題が知らされていない
  • (2)会議で指示されたことが、実行されないで、何となく忘れ去られてしまい、それで済んでいた
  • (3)命令なのか?相談なのか?感想を述べているのか良く分からない
  • (4)会議の時間が長い
  • (5)会議が定期的に行われず、急に召集されることがある
  • (6)会議が夕方5時以降に行われている
  • (7)日頃、部下とのコミュニケーションが不足している
  • (8)部下との相互信頼感に欠けている点がある

いかがですか?会議の基本ルールをまず守ることです。

(1)会議の目的は当然事前に参加者に文書で通知すべきです。また、会議の議事録は必ず作り、会議招集者の署名後、参加者に遅くとも翌日には配布すべきです。次の会議では、必ず前回の会議の議事録を持参し、会議で決められたことを確認すべきです

(2)議事録には、誰が、何時までに、何をやるかを文書で明記すべきです

(3)上司は、指示事項については、必ず途中で進捗状況をチェックすべきです

(4)会議で配布する資料は前日までに参加者全員に配布、会議の時間は討議に専念し、長くとも1時間で終えるべきです。できれば午前中にやることが好ましいです

(5)会議の席上で「出来ない」は禁句。上司は日頃部下とのコミュニケーションに務め、指示事項も事前に本人と話し合って合意を取って置くべきです。一緒にお茶を飲んだり、ランチをしたりする時間を活用することがいいと思います。会議に出るときは、ある程度の合意を作っておいて、「出来ない」は絶対に参加者の前では言わせないようにしないと、「出来ない」で済むと思われたらおしまいです。

また、課題を与える場合は、

  • (1)課題の解決が如何に会社にとって重要か。
  • (2)課題の解決が、如何に自分の成長に役に立つか。

を話すことが重要です。特に個人にどの様に役に立つかの視点は重要です。なぜなら、人間は基本的には、自分との関係で物を考えているからです。

また、これも大変重要な事ですが、

  • (3)課題を提供したら、必ず上司が具体的な支援をしてあげることです。

私が現役の時の話を例としてお話します。

ホテルのコーヒーショップのシェフに

「スパ・キュイジーヌ”をメニュ-に入れてくれ」と指示しましたが、指示する前に自分ですでに調査をしており、シェフに「すぐ、タイの世界トップクラスと話を付けてあるから、タイのホテルに1週間行って、勉強してきてくれ。言葉は通訳も兼ねてマーケティングのスタッフを付けるから。これが、上手くいけば日本初のスパ・キュイジーヌを日本に紹介できるし、君の個人的財産にもなる」結果は大成功、雑誌にも多く取り上げられ、シェフも雑誌のインタビューで大忙しでした。

“アジアン・テイスト”の部屋を作りたい、と施設責任者に指示

これも事前に調整をしておいて、「早速、購買の人と一緒にバリに飛んで、家具・備品類の購入を進めてください。現地を案内してくれる人は手配済みですので、安心してください。」これによって国内で購入する3分の1のコストでリノベーションが完成、その後は本人も自ら海外ルートの開発をして、その後の仕事に貢献。

海外に行く話は別として、これと似た例は山ほどあります。要は指示する以上、自分も事前にその課題の内容を良く把握し、適任者を選び、会議以外のカジュアルな場面で相談し、会議では正式に指示する、というプロセスを取ることです。課題解決までのプロセスでは、担当者が必要とするものを確認し、サポートすることです。また細かいことは、担当者に任せ自由裁量の部分を残しておくことです。

このようなプロセスを取り、何回か一緒に課題を解決すれば、課題解決に関して、相互信頼感が自然と生まれ、以降は「出来ない」という言葉は2度と出てこないでしょう。出てくるとしたら、「分かりました。こういう支援を頂ければ」あるいは「分かりました。しかし、その前にこのような課題を解決する必要があります」という前向きな言葉でしょう。

会議の席上での「言い訳」は絶対排除すべきです。それには、「言い訳」をする根本的原因を見つけ、その原因を排除し、部下が課題に取り組み易い環境を作ってあげることです。それでも「言い訳」をする人に関しては、その人を排除すべきです。

プロフィール
田中 勝(たなか まさる)
国内外でのホテルマネジメント経験を通じてグローバル・ホテル・マネジメントの手法を学ぶとともに、迎賓館支配人時代には数多くの国賓を迎える中でサービスの真髄を学ぶ。それらを生かして、東京・横浜のインターコンチネンタルホテルでは輝かしい実績を残し、インターナショナルな経営センスと独自の人柄により、ホテルスタッフからは「伝説的カリスマ総支配人」と呼ばれるなど、数々の伝説を持つ。現在はホテル産業経営塾塾長を務める傍ら、大学でも教鞭を取り、また、コンサルティングや講演で数々の実績を持つなど幅広く活躍している。
株式会社 MT J-ホスピタリティ 代表取締役 http://www.mt-jh.co.jp/
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