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  1. 大成建設 山内隆司の 世界の風に吹かれて

大成建設 山内隆司の 世界の風に吹かれて(7)
インカ帝国の古都クスコ

週刊ホテルレストラン 2011年6月10日号掲載

山内社長の連載も今月で7回目。今回は、世界遺産好きなら誰もがあこがれるインカ帝国の古都クスコと空中都市マチュピチュへ。謎に包まれたかの地で、山内社長はどのような体験をしたのだろうか?

 財界の先輩に、世界各国60カ国以上も旅をしている方がいます。その方との旅行談義の際、「今まで訪ねた場所で一番印象深いのはどこでしたか?」と聞いてみました。「それは、マチュピチュだよ!」という返事がすかさず返ってきました。「行くなら体力に余裕があるうちの方がいいと思うよ」とも。

 それから、機会があれば、ぜひマチュピチュに行ってみたいと思いを募らせ、2回ほど計画を立てたのですが、現地の災害などで2回とも頓挫していました。そして万難を排し三度目の正直という言葉を信じて計画し、ついにある年実現と相成りました。

 いざ、旅行当日。日本からの直行便はないため、アトランタまで13時間のフライトの後、トランジットで数時間、そこからまたさらに6時間飛行機に乗り、丸一日かけてようやくペルーの首都リマに到着しました。リマで一泊した後、クスコへ移動しました。クスコは標高が3399m。空気が薄く、ちょっと動いただけでも息切れし、すぐ疲れてしまいます。富士山山頂が3776mなので推して知るべしですね。「体力があるうちに」のアドバイスに至極納得しました。

 しかし、クスコは、想像していた以上の感動が待っていました。クスコは、かつて栄華を誇ったインカ帝国の首都でしたが、やがてスペイン人に征服され、首都はクスコから海岸の港町リマに移されます。その後それまでのインカ文明はことごとく否定され、キリスト教の布教が進められていきます。スペイン人は、インカ帝国に改宗か死かと選択を迫り、文明は崩壊していきます。クスコはその興亡の歴史が深く刻まれた都市なのです。

 中でも、印象深いのは、かつては修道院だった建物を改装した「ホテル モナステリオ」です。当時、その建物はスペイン人が進める“西洋化”の足掛かりとして建築されました。

 建築の視点から見ても、修道院をよくぞホテルに改装したものだと驚きます。100室を超える規模ですが、客室の仕様がそれぞれ異なります。天井高が7~8mあるので、浴室と洗面所の上の空間を生かし、その上を寝室にして階段で結んでいる部屋もあります。いわゆるメゾネットタイプの仕様です。また、標高の高いこの地ならではのサービスとして、酸素の供給ができる設備も用意されていました。調度品もセンスよく素晴らしいもので、さすが5ツ星ホテルだな、と感心しました。レストランには生演奏も入っています。料理はウェスタンですが、地元で取れたジャガイモ、トウモロコシ、トマトなどを上手に使っています。トマトの種類が豊富なのには驚きました。

 そして、念願のマチュピチュ。実際、それはもう大変素晴らしい!この一言に尽きます。急峻な山の尾根に沿うように築かれた空中都市マチュピチュは、山裾からは見えないため、長い間誰にも発見されず手つかずでしたから、インカ帝国の遺跡がそのまま残っています。山々に溶け込んだように見える壮大な遺跡のたたずまいには、神秘的なものさえ感じました。

 旅は、いつも新しい体験と興奮を与えてくれます。そして今回の地球の裏側の旅は、悠久の時の流れを感じるとともに、文明の栄枯盛衰を垣間見ることができた気がします。

 私も旅行経験は多い方だと自負していますが、聞きしに勝る刺激にあふれた忘れられない旅となりました。

山内隆司(やまうち・たかし)氏プロフィール
1946年6月12日、岡山県・邑久町(現瀬戸内市)に生まれる。府立天王寺高、東京大学工学部建築学科を経て、69年6月大成建設(株)入社。建築畑を歩き、ヒルトン東京ホテル、そごう川口店、センシティタワーなどを手掛ける。99年6月執行役員関東支店長、2002年4月常務役員建築本部長、05年6月取締役専務役員建築本部長、06年4月取締役専務役員社長室長などを経て、07年4月代表取締役社長、現在に至る。

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