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  1. 大成建設 山内隆司の 世界の風に吹かれて

大成建設 山内隆司の 世界の風に吹かれて(10)
現場の責任者たる者

週刊ホテルレストラン 2011年7月22日号掲載

今回は、山内社長の「仕事観」についてお話を伺ってみよう。大成建設は、1873(明治6)年の創業以来、長年にわたって培われてきた高度な技術力や総合力で、近代日本の黎明(れいめい)期から今日まで、時代を切り開くさまざまなプロジェクトを手掛けてきている。そのプロジェクト遂行に必要な能力とは。

 私は、作業所長としてこれまで多くのプロジェクトを完成させてきました。現場は、多くの工事関係者のかかわりによって完成の日を迎えるわけですが、その工事の成否は現場の責任者の肩にかかっています。私たち大成建設は釘一本打つわけではありません。また作業員の方たちを直接雇用しているわけでもありません。やることは、定められた完成期日に向けて作業工程をつくり、そのスケジュールに合わせて適時に資機材を調達し、多種多様な専門工事業者さんの力をタイミングよく結集していくということであり、コーディネーターの役目を務めていると言えるでしょう。

 メーカーのように契約を結ぶときに品物はありません。したがって施工を担当する私たち建設会社は、発注者の信用を得て契約に至るのです。私どもは、発注者や設計者の夢や期待を現実のものにしていくというミッションを託されているわけです。そして実際にそのミッションを担って機能もハードも現実化していく指揮者が、現場の責任者たる作業所長なのです。

 同じような工事内容であっても、所長によって進捗状況が違ってくるのも事実です。よい所長は、たとえ問題が起きても手際よく解決していきます。いわば“仕事のできる人”ということになりますか。工事期間中は大なり小なり「想定外」が次々と発生します。この「想定外」に対してどのような最適解を導き出し、約束どおり工期内に仕事を完成させるかが、現場の人間の知力なり、手腕というところでしょう。“仕事ができる人”とは“想定外に対処できる人”でもあるのです。

 また、こうした人に共通しているのは、責任感が強く周囲からの信頼が厚いのは当然として、担当する“現場がきれい”ということが挙げられます。現場の整理整頓にしっかりと気を配っていなければ、工事の運営に影響しますし、事故にもつながりかねません。そういう意味では、当然と言えば当然のことかもしれません。現場を訪れた経験がある方は納得いただけると思いますが、工事現場は皆さんが思っている以上にきれいなものなのです。

 私たちの仕事は、完成して引き渡しをした後に評価されます。いい仕事ならまた工事を頼もうと思ってもらえます。しかし、そうでなければ二度と注文されることはありません。そこで“あの所長なら大丈夫”と信頼してもらえばうれしいものです。建設物は高額な品物ですし、失敗は許されません。現場も常に引き締まります。そうして建設物を完成させ、引き渡したあとに感謝されたときの喜び。それまでの苦労が一気に吹き飛びます。これこそ私たちの仕事の醍醐味と言ってもいいのではないでしょうか。

 確かに現場は完成まで緊張と苦労の連続です。私も苦労した仕事ほど、鮮明に忘れがたい記憶として残っています。

山内隆司(やまうち・たかし)氏プロフィール
1946年6月12日、岡山県・邑久町(現瀬戸内市)に生まれる。府立天王寺高、東京大学工学部建築学科を経て、69年6月大成建設(株)入社。建築畑を歩き、ヒルトン東京ホテル、そごう川口店、センシティタワーなどを手掛ける。99年6月執行役員関東支店長、2002年4月常務役員建築本部長、05年6月取締役専務役員建築本部長、06年4月取締役専務役員社長室長などを経て、07年4月代表取締役社長、現在に至る。

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