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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL22 オテル ド パリ(後編)
ル・ルイ・キャーンズ&オテル・エルミタージュ Le Louis XV & Hermitage

週刊ホテルレストラン 2012年4月27日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。今回は前回(4月13日号)紹介したオテル・ド・パリの後編として、レストラン“ル・ルイ・キャーンズ”「Le Louis XV」と姉妹ホテル“エルミタージュ”「Hermitage」を紹介する

 モンテカルロのオテル・ド・パリ、それはコートダジュールの眩しい太陽に輝く宝石だ。その魅力の1つに“ル・ルイ・キャーンズ”「Le Louis XV」があるのは間違いないであろう。4年以内に3ツ星を獲得するという契約で、この壮麗な館の総料理長という重責に挑んだ勇気あるシェフ、それは他ならぬ若き日のアラン・デュカスである。当時、オテル・ジュアナの「La Terrasse」で2ツ星を得ていた彼は、幼いころから料理に並々ならぬ関心を持ち、一流のシェフたちから多くのアイデアを学び独自のスタイルを築いていた。とりわけ師と仰ぐアラン・シャペルに、素材に厳格かつ忠実であることを教え込まれた。

 オーナーに当たるSBM“ラ・ソシエテ・デ・バン・ド・メール”「La Societe des Bains de Mer」の選択は間違いなかった。デュカスはまさに偉大なシェフの器だった。1990年3月、弱冠33歳で彼は約束の3ツ星を、実に就任から3年弱で手に入れてしまう。その後のデュカスは「Le Louis XV」を足場に世界のアラン・デュカスとして、日本はもちろん世界各国でその才能を認められ、大成功を収めたのはご承知の通りである。現在のシェフは1996年より厨房を任されたフランク・チェルッティで、デュカスの許で修業を積み独自の世界観を持つ料理で、モナコという国際都市に集うゲストの舌を喜ばせている。

 “ベル・エポックの宝石”と称され地中海を見渡すオテル・エルミタージュは、ベル・エポック時代を象徴するエレガントな雰囲気を醸し出す優雅なホテルだ。「Hermitage」は“隠れ家”という意味を持ち、どこかサンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館を思い起こす壮麗な施設を持つ。その1つは“冬の庭園”「Jardin d'Hiver」で、パリのエッフェル塔の建築家で知られるギュスターヴ・エッフェルによって設計されたドーム状のロビーである。やわらかな日差しが差し込むステンドグラスの丸天井は優雅さを極め、国の重要文化財に指定されている。もう1つは「Salle Belle Epoque」で、ベル・エポックを象徴する絢爛かつ荘厳なボール・ルームに目を奪われる。

 エルミタージュは1895年の創業で、スイート50を含めて全280室のゲストルームを有し、3つのレストラン・バーがある。とくにメインダイニングの「Le Vistamar」はグレース王妃が愛したことで知られるレストランで、2011年にミシュラン1ツ星を獲得している。オテル・ド・パリとは姉妹ホテルの関係で、前者が男性的な力強さが感じ取れるのに対し、エルミタージュはどちらかというとフェミニンな雰囲気漂う気品あるホテルだ。SBM宿泊ゲストには“サークル”というカードが渡される。これはルームキーであると同時に付属施設のカジノやテルム・マランなど無料で利用できるカードで、以前発行されていた“カルト・ドール”に替わるものだ。

 筆者が訪問した2011年11月は、同年7月に挙行されたアルベール2世大公の結婚式の余韻がまだモナコの街に残っていた。いたる所に赤白のモナコ国旗がはためき、ショーウィンドウには大公夫妻の写真が大きく飾られている。世界中の観光客を惹きつけるモナコの魅力は永遠に尽きないようだ。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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