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  1. 大成建設 山内隆司の 世界の風に吹かれて

大成建設 山内隆司の 世界の風に吹かれて(19)
「ジブチの奇跡」、ジブチ・パレス・ケンピンスキー

週刊ホテルレストラン 2011年12月9日号掲載

2008年に東アフリカのジブチに誕生したジブチ・パレス・ケンピンスキー。同国初の5スターホテルとして注目を集めたホテル建設は、1年後に控えた国際会議までに完成しなければならない。地球上で最も暑い国の一つ、ジブチで進められた奇跡のプロジェクトの全容とは。

 舞台は、東アフリカの紅海の入り口に位置するジブチ共和国。地球上で最も暑い大地と呼ばれるこの国で、初めての5スターホテルとなったジブチ・パレス・ケンピンスキー。私たちは、2005年からこのホテルの建設プロジェクトに携わりました。

 ジブチというと、最近は、ソマリア沖の海賊対策として派遣された自衛隊の基地建設がニュースになりましたから、国名をご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ジブチは、四国をやや大きくしたほどの小さな国。国土の大半が砂漠地帯で、猿の惑星のロケ地にもなったほどです。このため農業はあまり発達していません。古くからジブチ港の中継貿易が栄え、内陸国エチオピアの海上貿易のほとんどをジブチ港が担っています。首都ジブチには、今なお、フランス統治時代に建てられた古い建物が残り、どこか懐かしくもエキゾチックな街並みが広がっています。

 今回のホテル建設は、ジブチ政府が空港や港湾などの整備に海外の民間資本を導入して開発を進めていたプロジェクトの一つで、アラブ首長国連邦ドバイの政府系デベロッパーで、中東最大の事業規模を誇るナキール社から発注されました。ホテルは計画当初から注目を集めていましたが、なによりも話題となったのが1年10カ月という短い工期でした。あまりの工期の短さから、ドバイの建設会社が恐れをなして仕事を断念したほど。しかも、着工から約1年後の2006年11月に、首都ジブチで開催される第11回「東南部アフリカ市場共同体」(COMESA)の首脳会議の会場としてホテルが使われることが決まっていました。

第一期工事としてたった1年で客室の半分にあたる176室と大会議場を完成させなければならなかったのです。COMESAは、アフリカ諸国の経済発展を主導する重要な会議。スケジュール通りの開業には、開催国としてジブチの威信がかかっていました。しかし、ジブチには資源がほとんどないため、すべての物資を輸入に頼らなければならず、建設資材の調達にも大変苦労をしました。インフラも完備されておらず、当初は、インターネットさえつながらず図面を送るのにも大変な時間を要する情況でした。そうした困難な情況の中、外国人スタッフとの緊密な連携や、最先端の施工技術を積極的に導入することによって予定通りに工事を完了させ、無事約束を果たすことができました。プロジェクトの成功は地元の新聞でも大きく取り上げられ、クライアントであるナキール社からは「ジブチの奇跡」との言葉をいただきました。また、当社はその功績をジブチ政府から高く評価され、大統領より勲章を授与されました。

 2008年11月には第二期工事も完了し、予定通り全館がオープン。敷地内にエネルギーセンターを設置し、インフラが不安定な現地において、5スターホテルとしての機能の維持を可能にしています。ホテルは、ジブチで一番安全な場所とされるフランス軍基地のゲートの前、紅海に面して建っており、力強く素朴な質感を持つアフリカンテイストと有機的で緻密なイスラムテイストを混在させたユニークなデザインが特徴。世界中に60以上の5スターホテルを展開する、ケンピンスキーホテルならではの卓越したサービスが提供されています。

山内隆司(やまうち・たかし)氏プロフィール
1946年6月12日、岡山県・邑久町(現瀬戸内市)に生まれる。府立天王寺高、東京大学工学部建築学科を経て、69年6月大成建設(株)入社。建築畑を歩き、ヒルトン東京ホテル、そごう川口店、センシティタワーなどを手掛ける。99年6月執行役員関東支店長、2002年4月常務役員建築本部長、05年6月取締役専務役員建築本部長、06年4月取締役専務役員社長室長などを経て、07年4月代表取締役社長、現在に至る。

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