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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL63  ホテル タッシェンベルクパレ ケンピンスキー Hotel Taschenbergpalais Kempinski

週刊ホテルレストラン 2014年1月10-17日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 ドレスデンを代表するランドマークであるツヴィンガー宮殿がホテルの隣に位置する。そして荘厳たるオペラ座のゼンパー・オーパーが斜め前に、ドレスデン王宮がホテルの真正面に建つという立地に驚かれるであろう。しかもホテルの建物自体も、国王が伯爵夫人の為に建てた宮殿を後に再建したものだと聞けば尚更の事である。ホテルの名はタッシェンベルクパレ「Hotel Taschenbergpalais」、“ タッシェンベルクの宮殿”という意味だ。国王フリードリッヒ・アウグスト、通称“ アウグスト強王” がアンナ・コンスタンティア伯爵夫人、後のコーゼル伯爵夫人の宮殿として、1708 年にドレスデンの中心地タッシェンベルク「Taschenberg」に建設したものである。

 ドレスデンはエルベ河畔に発展したザクセン州の州都で、中世の面影を色濃く残した古都である。アウグスト強王の命の元、陶磁器の制作がヨーロッパでいち早くマイセンで開花し、ドレスデンは“ エルベの宝石箱”と称えられた。しかし、第2次世界大戦時では徹底した爆撃にあい、市内中心部の歴史的建物はほぼ灰燼に帰した。戦後とくに東西ドイツ統一後は目覚ましい復興がなされ、タッシェンベルクのホテルを含め多くの歴史的建造物は往時の姿のままに再建、修復がなされた。

 タッシェンベルクパレは1995 年からホテルとして開業し32 のスイートを含む全214 室のゲストルームを擁している。筆者にアサインされた部屋は「Kurfursten Deluxe Room」で、約45m²の広さを持つ端正でクラシカルな雰囲気の客室だ。レストラン・バーでは、メインダイニングの「RestaurantIntermezzo」があり、夏季は優美なインナー・コートヤードで食事が楽しめる。「Palais Bistro」ではパリの本格的なビストロの雰囲気が楽しめるとあって好評だ。また、中世の面影を残す館内回廊の脇には「Cafe Vestibul」と「KarlMay Bar」がある。そのほか、「Spa Lounge」と呼ばれるエリアには優雅なインドアプールを用意して、サウナ、ジャグジー、フィットネスなど最新の設備をゲストに提供している。

 タッシェンベルクパレは前述した様に、ドレスデンを代表する男性的な存在感を誇る歴史的建造物群の区域内にある。その中で、伯爵夫人の宮殿という女性的な雰囲気を持つ佇まいは、ホテルの華麗な装いを一層際立つ存在に高めている。現在はケンピンスキーホテル・グループの旗艦ホテルの一つとして高い評価を受け、その繊細なバロックからロココ様式に至るホテル建物はドレスデン観光の一翼を担っている。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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