世界のリーディングホテルVOL92 フォーシーズンズ リゾート ラナイザ・ロッジ アット コエレFour Seasons Resort Lanai,The Lodge at Koele

週刊ホテルレストラン　2015年3月27日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

　常夏の島ハワイで、一年中暖炉には炎が煌めき、ゲストはセーターが手放せないというホテルがある。ホテルの名は「Four Seasons Resort Lanai, The Lodge at Koele」（以下、FS/LK）。標高500 ｍの高原に、今まで見てきたハワイとは明らかに違う風景が広がる。英国のカントリーハウスを彷彿させる建物の中は薄暗く重厚なデザインだ。芳しい木の香りと、ロビーの左右に薪が焚かれた暖炉。磨き抜かれた英国調の家具など、どこか山小屋にも似た暖かな雰囲気を感じさせてくれる。誰もが描いている南国ハワイのイメージを遥かに超える気品と優雅さに満ちている。

　ジェームス・ドールの開いた農場、「Dole」の名で一世を風靡したパイナップルの島がリゾートアイランドへと変革を遂げようとした1990 年、この島に初めてのラグジュアリーホテル「The Lodge at Koele」が誕生した。66 年、ハワイ財閥の一つ、キャッスル＆クック社はドールからラナイ島を購入。世界最大のパイナップル農場が次第に様相を変え、92 年に最後の畑も閉鎖してしまった。ロッジは地元の住民の誇りでもあり、正面ファサードには大きなパイナップルの絵が描かれている。パイナップルと共に歩んで来たラナイ島の歴史に謝意を表しているかのようだ。（本誌Vol.91、Four Seasons Resort Lanai at Manele Bay 参照）。

　FS/LK はフォーシーズンズの傘下に入り、2006 年全面改装後、スイートを含め全102 室を擁して再オープンしている。ハワイ州旗に迎えられて館内に入ると「Great Hall」と呼ばれる暖炉に薪が焚かれた重厚なロビーラウンジに目を奪われる。筆者にアサインされた部屋は「Great HallPremier Fireplace Room」で、文字通り暖炉が付いた約55㎡のJr. スイートタイプの客室だ。夕食を取っている間に薪を焚いてくれるサービスがうれしい。ファインダイニング「The Restaurant」では、ラナイ島いちばんの本格的フランス料理を堪能できる。また、カジュアルダイニング「Terr ace」とメインバー「The Bar」も用意され、「Great Hall」ではアフタヌーンティーが人気だ。FS/MB に対し、FS/LK はグレック・ノーマン設計のセンセーショナルな山岳ゴルフコース「Koele Golf Course」も併設している。

　ハワイの島々の中で最も自然が保存されているラナイ島。1980 年代　に島のパイナップル産業は安い東南アジア産に取って替えられたが、代わりに誕生したのが世界に誇る二つの高級リゾートである。海辺と高原にそれぞれ建てられた二つの珠玉のホテルは、世界のリゾートを知り尽くしたセレブリティが最後に選ぶ理想郷とたたえる楽園だ。

筆者　小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健（株）代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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