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  1. 世界のリーディングホテル

VOL97 ザ・ドルダー グランド ホテルThe Dolder Grand Hotel

週刊ホテルレストラン 2015年6月12日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 スイス連邦屈指の名門ホテルで、チューリヒの街と湖を見下ろす高台に建つ壮麗なホテルが「The Dolder Grand」である。1899 年にラグジュアリーなクアハウスリゾートとして創業してから長い伝統を誇る、チューリヒを代表するランドマークホテルだ。森に囲まれた高級住宅街の閑静なロケーションに、多くの塔を昔のままに残した古城を思わせるクラシカルな本館と、スタイリッシュなデザイン構成の新館から成るホテルは威風堂々とそびえ立っている。

 ドルダーグランドは2004 年からホテルをクローズし、4年もの歳月をかけて大規模な改修工事を施した後、08 年4月にグランドオープンを迎えた。建築設計を担当したのは、プリツカ―賞を受賞した英国人のノーマン・フォスター卿が率いる「Foster+Partners」。あのシンガポール・セントーサ島の「Capella」を担当し、曲線の魔術師と言われる著名な建築家だ。新館を構成する優美な曲線がクラシカルな本館をぐるりと取り囲んでいる。また、本館メイン棟は創業当時の古典的な外観や繊細な内装のディテールなど可能な限り保存し、完全リニューアルを果たした。

 ドルダーグランドはスイートを含め全176室のゲストルームを擁し、まるで物語に出て来るような古城をイメージさせる本館建物が印象的だ。館内は伝統とモダンを調和させた気品あるインテリアで、新館とを結ぶ回廊は洗練されたアート感覚が魅力である。筆者にアサインされた部屋は、新館にあるアーバンコンテンポラリー感覚の「DoubleRooms Deluxe」で、約45m²の広さがあり、緑豊かな森に面したバルコニー付きの客室だ。メインダイニング「TheRestaurant」は、名画が飾られた雰囲気の中、本格的フランス料理を堪能できるミシュラン2ツ星のレストランである。オールデイダイニング「Garden Restaurant」は、チューリヒの街を望めるテラス席がお勧めだ。また、ヒーリングスポットとして有名なセドナを拠点に活躍するシルヴィア・セピーリ女史が担当したスパ「Dolder Grand Spa」は、欧州と日本のスパ要素を取り入れた独自のスタイルで、総面積4000m²というゴージャスな施設である。

 驚くかもしれないが、ドルダーグランドは専用のケーブル軌道を保有し山麓とホテルのある高台を結んでいる。広大な敷地に伝統の本館とスタイリッシュな新館が融合されたホテルは実に機能的で美しい。100 年以上前の建物を徹底的に修復し、近未来的な新館を何の違和感もなく増設して現代のニーズに適合させる。まさに日本のホテルリニューアル事業に大きなヒントを与えるぜいたくな提言と言える。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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