週刊ホテルレストラン HOTERES WEB

  • TOP
  • ホテル&レストラン
  • 業界コラム
  • ホテルビジネスなんでも相談
  • バイヤーズガイド
  • HITS
  • ホテレス電子版
  1. 観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

第7回 観光は人材育成の場でもある

※本誌『週刊ホテルレストラン』毎月2・4週に連載中

 皆さんは、家族で旅行をしていますか?
 旅行は、家族のきずなを深めるには、非常に有効です。日常から離れた場所で、たくさんの時間をかけて親子が語らう。同じものを見て、同じ感動を味わう。旅行は子どもたちの人格形成に非常に大きな、そして良い影響を与えるのです。

 私は、観光は人を育てるものだと思っています。単純に経済の活性化、地域の活性化、国際交流といった効果だけではなく、人材育成、人格形成、家族のきずなといった、精神的な豊かさをももたらしてくれるのです。

 私自身も旅先で出合ったこと、感動したことが、自分の夢や目標につながっています。例えば、今から20年前にイタリアにいる両親に会いに行ったときに偶然見たワールドカップの試合が、日本のワールドカップ誘致に向けた活動のきっかけとなりました。「これや!これをオレも日本でやりたい!」と。

 また、アメリカで体感した留学生との語らいを通して、こういった場を日本にも持っていきたいと考え、立命館アジア太平洋大学とのプロジェクトにつながりました。
 それに、ヨーロッパに住んでいた子ども時代に、週末に父親と一緒に応援した田舎のプロサッカーチームの試合。そのときの地方の盛り上がりや一体感が、自分がJリーグチームの監督を始めたときの目指すべき成功イメージとなりました。

 こうやって、さまざまな場所で見聞きしたことが、自分の夢になる。よく大人たちは子どもに対し「夢を持て」とか言うけれど、自分で体感した感動や憧れといったものがなければ夢は生まれません。自分で体感したから具体的なイメージが湧くのです。

 コンサートなどもそうでしょう。DVDを見たり、人の話で聞いたりしても、自分で見に行ったときほどの感動は得られません。百聞は一見に如かず、なんですよ。

「生きることは旅すること」。エコノミストの大前研一氏もそうおっしゃっていました。旅を通していろいろなものを吸収し、自分の感性を高め、ビジネスに役立てている、と。私も行ってみたい国がたくさんあります。たまにしか行けませんが(笑)。でも、「ああ、次の休みにはあそこに行こう」というのが仕事の活力になるじゃないですか。そして、旅をして得た感動が、次の仕事の活力になる。人生は、その繰り返しなんです。
 ぜひ、家族で旅をしてください。
(9月4週号より)

※次のアップは、11月4週に「第9回」を予定しております。
 「第8回」は、ホテレス本誌10月8日号をご覧ください。

ついに公開!ホテレス電子版 年間8,000円で!過去1年分の記事が読める!キーワードの検索もできる!トライアル版は無料!