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  1. 観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

第20回 絆

※本誌『週刊ホテルレストラン』毎月2・4週に連載中

 この度の千年に一度と言われる大規模な災害によって被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。

 これを読んでいらっしゃるホテルや旅館、レストラン関係者の皆さまについては、このような状況下にあっても、お客さまを第一に考えてサービスを提供し続けなければならないというプレッシャーやストレスは計り知れないものがあります。自分のことは顧みず、お客さまを気遣い、使命を全うし続けるその姿勢に、感服すると同時に深く御礼申し上げます。

 実は私も小学校6年生のときに、京都にある実家で土砂災害によって被災した経験があります。家の1階部分は完全に土砂に埋まり、通っていた学校も半壊しました。そのため、今回の地震は決して他人事ではありません。

 いま日本は、非常に厳しい局面に立たされています。地震、津波、原発という三つの深刻な問題が同時発生したケースは人類史上、例を見ないことです。では、ここからはい上がるためにはどうすればいいのか。

 いまの日本に問われているのは、「絆」という名の底力ではないかと私は思います。家をなくし、不幸のどん底にいた私を支えてくれたのも、家族の絆、地域の絆でした。今回の震災を機に、こうした絆の素晴らしさがさまざまなメディアで報じられ、見直されています。知らない人同士が助け合い、励まし合う様子に、私たち日本人が忘れていた「絆」の大切さを改めて感じた人も多いのではないでしょうか。

 観光は、こうした絆によって作られます。皆が気持ちを一つにし、絆を確かめ合うことで、日本の観光は次のフェーズに入れると確信しています。

 今こそサービス産業の原点に帰るときです。誰かに幸せや喜びを運ぶという、その仕事の素晴らしさをかみしめてください。誰かに頼られ、慕われるという、その仕事に誇りを持ってください。皆さんの温かい声掛けが、小さな心配りが、たくさんの人の救いになるのです。

 今回の地震がもたらした被害はあまりにも大きい。しかし、そこから学び、気付かされたことも大きい。そう思います。

 観光で日本を元気にするという目標のもと、私自身も全身全霊で努力していきます。皆さまもこれを一つの契機として、真の観光立国になるために一緒に頑張っていきましょう。

※次のアップは、5月4週に「第21回」を予定しております。

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