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  1. 観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

第11回 観光危機管理

※本誌『週刊ホテルレストラン』毎月2・4週に連載中

 先日、APEC観光大臣会合に参加してきました。第6回となる今年は日本で開催されたのですが、非常に刺激的で、特に、シンガポール、タイ、韓国、マレーシアなどの観光に対する意気込みを肌で感じられた2日間でした。彼らの観光に対する並々ならぬ想いに触れ、私自身のファイティングスピリットに改めて火が点きましたね。

 今回の会議で大きな収穫となったのが、タイの観光大臣に聞いた危機管理対策に関する情報です。タイではこれまでに津波、エイズ騒動、空港の封鎖といった危機を乗り越え、観光客を増やしてきました。観光は、政治、経済、外交の影響を非常に受けやすい。津波やストライキなどはあくまでも局地的な現象ですが、やはり過大放送などによって国全体に問題があるように見えてしまうものです。そのため、こうした危機が起きたときに、いかに迅速に現状を掌握し、的確な対応できるかが重要になってくるんです。

 いま日本も、尖閣諸島の問題により中国との交友関係にいろいろな課題が出てきています。早速APECで得たノウハウを取り入れ、馬淵澄夫国土交通大臣と危機対策を早急に進めていこうと動き出しました。

 具体的には、外務省など関係省庁との情報共有の徹底。それに加えて、観光関連の民間会社の方々を一週間に一度お呼びし、中国の情報を共有しつつ、その対策について協議しています。また、自治体にも集まってもらい、どんな状況にあろうとも日本は交流拡大という軸をぶらさないということを伝えました。
 こうして官民が想いと情報を常に共有することで、非常にいい一体感が出てきました。年間を通じたお互いの動きも理解でき、より高い相乗効果が生まれています。こうした意味でも、APECから学んだものは大きかったですね。

 中国との関係もそうですが、長い歴史の中では山谷もあるでしょう。しかし、一時的なものに流されず、軸をぶらさず、しっかりと交友関係を築いていくことが大切です。中国に対しては、JNTOのホームページを使って「ぜひ国慶節には日本に来てください。これから日本はいい季節ですよ」というメッセージも流しました。これからも一貫した姿勢で中国との交流拡大に力を入れていきます。
「雨降って地固まる」ですから。
(11月4週号より)

※次のアップは、1月4週に「第13回」を予定しております。
 「第12回」は、ホテレス本誌12月10日号をご覧ください

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