週刊ホテルレストラン HOTERES WEB

  • TOP
  • ホテル&レストラン
  • 業界コラム
  • ホテルビジネスなんでも相談
  • バイヤーズガイド
  • HITS
  • ホテレス電子版
  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL43 ブルガリホテルミラノ BVLGARI Hotel Milano

週刊ホテルレストラン 2013年3月8日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

  よくぞミラノの中心部に鬱蒼たる木々に囲まれた静寂の地があったものだ、と思わず感心するほどの場所にブルガリホテルミラノは悠然と佇んでいる。ブルガリホテル&リゾートとして最初のホテルで、著名なブレラ美術館やスカラ座に近く、高級ショッピング街のモンテ・ナポレオーネ通りも徒歩圏内という最高の立地に2004年5月にオープンした。かつて16世紀に修道院の庭園であったホテルのプライベートガーデンは4000㎡に及び、隣接する植物園からの樹木が庭園と重なり合って広がり、まさにミラノ中心部のオアシスと言える貴重なホテルだ。

 ホテルへのアプローチが実に感動的である。「BVLGARI」のロゴを塀に掲げた風情あるプライベート道がホテルの庭園まで真っすぐ伸びている。館内に入るとすぐ左手にレセプションがあり、デスク脇には代表作の「ブルガリ・ブルガリ」の大きな置き時計がさり気なく置かれていた。ホテルは建築から内装、家具、テキスタイル、アクセサリーまで全てがイタリアデザイン界の巨匠アントニオ・チッテリオのトータルデザインによるものだ。ブルガリのエレガントなブランドイメージをそのままに、ホテルという空間に投影され具現化されている。彼の妥協のないデザイン思想は最高級の天然素材の扱いも贅沢極まりない。大理石だけでも計300トンが世界各地から運ばれ、ラウンジにある暖炉はジンバブエ産の黒花崗岩製で重さが15トンあるという。

 ブルガリホテルミラノの客室は11のスイートを含む全58室という余裕のルーム構成だ。全室が明るい雰囲気で床から天井までの大きな窓から自然光が差し込み、樹木の美しい庭園を望める。バー・ラウンジの「Il Bar」では黒樹脂製の大きな楕円形のカウンターバーがどっしり構えていて、ここから窓越しにテラス「Il Giardino」が望める。バーの奥にはメインダイニングの「Il Ristorante」があり、シェフのエリオ・シローニが創る官能的な料理の味と香りを楽しめる。地階にある「The BulgariHotel Milano Spa」にはゴージャスな5室のトリートメントルームを用意し、宝飾をイメージしたゴールドとエメラルドのモザイクがスイミングプールを華麗に輝かしている。また、中世には修道院の菜園でもあった庭園はレストラン用に今も野菜や香草が育てられていると聞く。

 ブルガリホテル&リゾートはミラノ開業の2年後にバリ島南部の断崖上に全室ヴィラタイプのリゾートを、そして去年2012年にはロンドンのナイツブリッジにブルガリホテルロンドンをオープンさせている。また、東京と大阪には世界に先駆けて直営レストランが運営されており、2015年にはブルガリホテル上海をオープンさせる予定だ。ホテルの概念を超えた、高級ジュエラーの香り漂うラグジュアリーなホテルをぜひ東京にも展開して欲しいものである。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

詳細をご覧になりたい方はPDFファイルをダウンロードしてください。

ついに公開!ホテレス電子版 年間8,000円で!過去1年分の記事が読める!キーワードの検索もできる!トライアル版は無料!

世界のリーディングホテル連載一覧

  • 小原康裕