世界のリーディングホテルVOL48　ジュメイラエミレーツタワーズ＆ジュメイラ・アット・エティハドタワーズ　Jumeirah Emirates Towers & Jumeirah at Etihad Towers

週刊ホテルレストラン　2013年5月24日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

　ユニークな外観を持つドバイの超高層ビル群の中でも、ひときわ存在感を主張しているツインタワーがある。ジュメイラ・グループが運営するジュメイラ・エミレーツタワーで、地上350mの高さのオフィス棟と305mのホテル棟が向き合っている。エミレーツタワーはドバイ中心部のビジネス・ディストリクトに立地し、地下には高級ブティック店が並ぶショッピングセンター「The Boulevard」を整備してメトロ駅にも直結している。エミレーツタワーは超高層ビルが林立するドバイではその高さがあまり感じられないが、ホテル単体としての建物の高さは世界で第5位（2012年現在）で、ブルジュ・ハリファと共にドバイのランドマーク的存在になっている。

　ホテルはスイートを含め全400室を擁し、2000年にグランドオープンした。館内ロビーフロアは巨大な吹き抜けになっており、シースルー・タイプのエレベーターが上下している。筆者がアサインされた部屋は「Club Premier Room」のジュニアスイートで約63m²の広さがあり、42階にあるクラブラウンジにアクセスできる客室だ。館内には15カ所のレストラン・バーが用意され、特に50階にあるコンテンポラリー・ダイニング「Vu's Restaurant」はドバイ中心部の超高層ビル群の景観が楽しめる。また、スパ「Talise Spa」のほかにフィットネス「Talise Fitness」があり、オープンエアのラウンジとスイミングプールで都心に居ながらペルシャ湾からの風を感じて優雅にくつろげる。

　ユニークな外観と言えば、アブダビにオープンしたばかりの巨大コンプレックス、エティハドタワーに勝る複合施設はないであろう。地上280mを超える5棟の超高層ビルが中心部に向かって緩やかな弧を描いた印象的な建築群で、そのうち3棟は高級レジデンス、1棟はオフィスビル、そして中心の1棟はジュメイラ・グループが初進出したジュメイラ・アット・エティハドタワーである。アブダビを代表するエミレーツパレスと道路一つ挟んだ好立地に建設され、前者が優雅な長期滞在型とすれば、こちらはグローバルなビジネス顧客をターゲットに絞り込んだ高級感あふれるスタイリッシュな造りである。

　ホテルはスイートを含め全382室を擁し、2011年末にオープンしているがまだ周囲の道路は工事中である。アサインされた部屋は「Grand DeluxeRoom」で約60m²の広さがある。全面ガラスで採光が良く、余裕のカウチソファと広大なカウンタータイプのライティングデスクがビジネスユースには最適である。館内には12の興味深いレストラン・バーが用意され、ユニークな展開の日本料理店「Tori No Su・鳥の巣」やヨーロッパのテイストを取り入れたレバノン料理「Li Beirut」が人気を博している。スパはお馴染みの「Talise Spa」があり、3つのスイミングプールと一体となった砂浜の美しいプライベートビーチで泳ぐことができる。

筆者　小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健（株）代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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