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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL53
ザ・フェアモントホテルバンクーバー The FairmontHotel Vancouver

週刊ホテルレストラン 2013年8月16日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 ザ・フェアモントホテルバンクーバーは街の発展と共存して来たバンクーバーを代表するランドマーク・ホテルである。ホテルの歴史は古く、CPカナディアン・パシフィック・ホテルズ社によって「Hotel Vancouver」の名称で1939年に開業した。現在のホテルバンクーバーは、5階建て煉瓦造りの初代から数えて3代目の建物に当たり、11年もの歳月を要してやっと竣工にこぎつけた。工事を開始して間もなく世界大恐慌の嵐が襲い、5年の長きにわたり建設は中断を余儀なくされたためである。それだけに完成時の喜びは大きく、市民たちも「バンクーバーの誇り」と大歓迎でホテルを称えた。後に英国王ジョージ5世やエリザベス女王を迎えてホテルバンクーバーの最盛期を迎えることになる。幾多の変遷を経てCPホテルズ社は99年にフェアモント・ホテルズ&リゾーツを買収、トロントに本社を置き「Fairmont」ブランドで経営に当たらせている。(本誌Vol 4、The Fairmont Empress参照)

 ホテルバンクーバーは市内中心部のW・ジョージア・ストリートに面し、バンクーバーを代表する文化施設のアート・ギャラリーと隣り合わせという好立地にある。巨大な緑青のとんがり屋根が目印で、市内どこからでもその特徴ある建物は確認できる。ヨーロッパの古城を彷彿させる外観が印象的で、特に夜間その屋根を中心にライトアップされると、より幻想的な雰囲気に包まれる。その威風堂々とした佇まいはまさに街のランドマークであり市民の誇りでもある。

 ホテルバンクーバーはスイートを含めて全556室のゲストルームを擁する老舗高級ホテルである。筆者にアサインされた部屋はスイート・カテゴリーの「One Bedroom Suite」で約70m²の面積がある。コートヤードビューのクラシカルなスイートで、リビングとベッドルームは充分な広さを確保している。レストランはエントランスホール正面にバー・ラウンジ&レストラン「900 West Lounge」があり、バンクーバーで一番のエンターテイメント・スポットとして評価されている。また、アート・ギャラリーに面した「Griffins」はカジュアルなビストロとして人気がある。ヘルスクラブには太陽光が差し込む明るいスイミングプールがあり、隣のフィットネスセンターは2010年に全面改装され24時間アクセスが可能だ。

 ホテルバンクーバーは“Castle in the City”と親しみを込めて呼ばれるように、時代を超えたバンクーバーの顔としての存在感がある。近年、多くの高級ホテルチェーンが様々な形態で進出して来ているが、その凛とした表情には、まだまだ若い者には負けないという自負心が見て取れるようだ。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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