世界のリーディングホテルVOL70
フォーシーズンズ リゾートランカウイ　Four Seasons ResortLangkawi

週刊ホテルレストラン　2014年4月25日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

　鬱蒼としたジャングルの大自然に溶け込んだ「ザ・ダタイ」（本誌Vol.71、The Datai 参照）とは対照的に「FourSeasons Resort Langkawi」（以下、FS/L）は、目の前に明るい白砂のビーチとアンダマン海が広がる。タンジュン・ルーの砂浜はまるで“ 砂漠の砂丘”と表現されるように、きめの細かい砂浜が広大な幅を持って無限に続いている。その浜辺に続く広々とした敷地内には熱帯の植物や花々が咲き誇り、石灰岩の山を背後に望む自然と調和した空間は癒やしの効果を最大限に高めている。

　FS/L の大きな特徴はエキゾチックなデザイン・空間構成であろう。インテリアにはスペインとイスラム建築を融合した“ムーア様式” を取り入れている。その効果で、客室をはじめレストラン、バー、スパなどパブリックスペースにはアラビアンナイトをイメージしたムーア調の装飾が施され、ある種の“ 不思議な空間” を演出している。もう一つの注目は海辺と一体化した二つのプールだ。家族向けの「Family Pool」は複雑に入り組んだ独特の形状をしており、多目的に利用できる。もう一つは「Adult Quiet Pool」で、白亜の砂浜の向こうにアンダマン海を望み、専用のカバナを備えたカップル向けの静かなプールである。

　FS/L の客室は広大な庭園内に91 のヴィラとパヴィリオンを用意している。エントランスから迷路のような回廊を通り、池を望むラウンジでチェックインとなる。中心となるのは4 つの客室を一体化した集合タイプのパヴィリオン「Melaleuca Pavilion」で、それぞれUpper とLower に分かれる。また、より広い客室の「Beach Villa」が浜辺にも点在している。筆者にアサインされた客室は「LowerMelaleuca Pavilion」で、庭園に張り出したテラスと露天風呂感覚の屋外テラゾバスタブが標準装備されている。レストランでは“ レモングラス” を意味する地中海料理の「Serai」、“ 魚” を意味する地元マレー料理の「Ikan-Ikan」が人気だ。浜辺にはバーラウンジ「Rhu Bar」があり、ムーア様式の装飾がアラブの世界に誘ってくれる。フィットネスセンター隣りにはスパ「The Spa」があり、アラビアンナイトの雰囲気でトリートメントが受けられる。

　FS/L はランカウイで最も麗しいタンジュン・ルーの白亜のビーチに広がる。ここでは海辺とプールが重要なファクターとなるが、冷水、冷タオル、フルーツ等が随時パーソナルに提供されるのは嬉しい。隠れ家リゾート「ザ・ダタイ」と海辺のリゾート「フォーシーズンズ」、どちらも興味が尽きないランカウイの贅沢なホテル対決である。

筆者　小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健（株）代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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