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  1. ホテル&レストランニュース

訪日外国人目標2,000万人を受けて、求められる分煙環境整備。
日本の飲食・宿泊施設事業者はどうすべきか? 実態を探るべく訪日外国人観光客・飲食事業者・宿泊事業者に一斉調査を実施。

2015.01

日本は今、2020年東京オリンピック開催決定をきっかけに国の指針として訪日外国人年間2,000万人を目指している。2014年時点に於いても外国人観光客は順調に増加しており、国内におけるインバウンドへの期待値は高まっていると言われている。そんな中、本誌でこれまで不定期に取り上げてきた国内の分煙の取り組みにつき、インバウンドという側面からどのようにとらえるべきなのか?今回は今一度そのヒントを探るべく、訪日外国人の意識および日本の飲食、宿泊施設事業者の実情を探るため、一斉に調査を実施した。

今回、株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベル、一般社団法人 全日本シティホテル連盟、全国旅館生活衛生同業組合連合会、東京都飲食業生活衛生同業組合(順不同)の協力のもと、実際の利用者である訪日外国人観光客と、それを受け入れる飲食・宿泊事業者との両側面に対して調査を行った。今回の調査結果から得られる最も顕著な示唆としては、「インバウンド市場において、現在の日本の分煙環境が高い評価を得ていること」「一部の不満を感じている外国人に、特に求められる有効な手段が、店頭表示などにより喫煙環境をわかりやすく表示すること」であった。

一方、事業者側の対策の状況としては、店頭表示などの対策が十分に進んでいる状況とは言えない。 事業者の意識として、インバウンド増加の効果がまだ実感出来ていないことも要因の一つと考えられるが、先んじて対策を行い、吸う人も吸わない人も快適な環境を作ることは、インバウンドに限らず売上貢献の重要な手段の一つである。
今回の調査結果も踏まえ、業界全体として自主的な分煙環境整備が進むことを期待する。

今回の調査結果については、週刊ホテルレストラン本誌にて、詳しくレポートを行う予定である。
以下に、調査結果の概要を抜粋して記載する。

【外国人観光客の日本に対する喫煙環境意識調査】

実際に訪日した外国人観光客に対して、日本の喫煙環境についての意識を調査

■外国人の日本の喫煙環境に対する印象は良い。
日本の喫煙環境の印象についての各項目に対して、外国人が「そう思う」という割合を聴取
・「街中に吸い殻が落ちていない」 90.4%がそう思うと回答
・「日本人の喫煙マナーが良い」 87.9%がそう思うと回答

■自国と比べても、外国人は日本の喫煙環境を評価している。
自国と比べて、日本の喫煙環境をどう感じるかについて聴取
・全体:「日本のほうがよい」64.2% ⇔ 「自国の方が良い」20.8%
・喫煙者:「日本のほうがよい」80.3% ⇔ 「自国の方が良い」9.9%
・非喫煙者:「日本のほうがよい」61.2% ⇔ 「自国の方が良い」22.9%
※その他、エリアで見ると特にアジア(中国)からの評価が高く、欧米・オセアニアで見ても自国を上回っている

■飲食店がそれぞれ喫煙・禁煙・分煙を選択できる日本独自のスタイルについて、過半数が賛成。 反対は約2割と少ない。
飲食店において、事業者がそれぞれ喫煙・禁煙・分煙など店内の喫煙環境を決め、お客が自分にあった環境の店を選択できるという日本独自のスタイルに対する賛否を聴取
・(全体)賛成51.6%/反対22.0%
・(喫煙者)賛成60.6%/反対28.2
・(非喫煙者)賛成50.0%/反対21.0%

■日本の喫煙環境に関して、改善して欲しい内容として喫煙者と非喫煙者に共通するのは、吸える場所・吸えない場所をしっかりと“案内”すること。
日本の喫煙環境に関して、改善して欲しい内容を聴取

喫煙者・非喫煙者それぞれの改善を希望する内容トップ5
喫煙者 非喫煙者
屋外喫煙所の案内を充実させて欲しい 56.5% 禁煙の飲食店を増やして欲しい 59.9%
屋外の喫煙場所を増やして欲しい 56.5% 宿泊施設内を完全禁煙にして欲しい 52.4%
飲食店について喫煙・分煙・禁煙の表示をして欲しい 44.9% 飲食店について喫煙・分煙・禁煙の表示をして欲しい 35.6%
宿泊施設内の喫煙場所を増やして欲しい 37.7% 宿泊施設内の禁煙エリアの案内を充実させて欲しい 32.6%
宿泊施設内の喫煙場所の案内を充実させて欲しい 34.8% 屋外の禁煙エリアの案内を充実させて欲しい 32.6%

■喫煙環境以外も含め、日本において改善して欲しい不満点の上位は「多言語対応の案内板が少ない」「街中のごみ箱が少ない」「飲食店のメニューが多言語対応していない」など。
喫煙環境に関するものも含め、さまざまな項目の中で、日本において改善して欲しい不満点を聴取

改善して欲しい不満点のトップ5
1.英語・多言語対応の案内板が少ない 53.9%
2.街中のごみ箱が少ない 50.4%
3.飲食店のメニューが英語・多言語対応していない 44.2%
4.Wi-Fiを使えるところが少ない 42.9%
5.外国人対応の観光案内所が少ない 37.2%

■現在の日本の喫煙環境を踏まえて、約8割が日本にまた来たいと回答。訪日意向無しはほぼいない。
現状の日本の喫煙環境に対して、また日本に訪れたいと感じるかを聴取
・(全体) 来たい計 78.4%/来たくない計 1.9%
・(喫煙者) 来たい計 80.3%/来たくない計 2.8%
・(非喫煙者) 来たい計 78.3%/来たくない計 1.8%

【飲食事業者のインバウンドに対する喫煙環境意識調査】

都内の飲食事業者に対して、インバウンドの増加傾向や対策等に関する意識を調査

■飲食事業者においてインバウンド増加の効果はまだ感じられていない。
来店客の中で外国人の割合、外国人客の増加傾向、今後の売上貢献への期待度を聴取
・外国人客の割合  多い 16.9%
・外国人客の増加傾向  増えてきた 28.9%
・外国人客増加による売上貢献  期待している 26.3%

■外国人客増加に備え、喫煙環境整備の対策を必要と感じる飲食店事業者は少ない。
今後、外国人客の増加に伴い、喫煙環境整備などの対策の必要性を聴取
・(全体)必要 29.1% / 必要なし 40.8%
・(客席フロア100㎡超)必要 51.7% /必要なし 28.3%
・(客席フロア100㎡以下)必要 23.5% / 必要なし 43.9%

■訪日外国人から求められている「店頭表示」の実施状況は2割弱と低迷。
※注:今回の調査対象は小規模店が多いため参考
店頭や店内での喫煙環境表示を行っているかを聴取

・喫煙環境表示をしている 16.8%

■外国人観光客の増加を見据え、行政が規制することに対しては賛成が2割弱、5割が反対。どちらともいえないと回答した事業者も、規制に対する懐疑的な意見を理由とした回答が多い。
飲食店の喫煙環境に対して、行政が規制を行うことに対する賛否を聴取
・賛成18.1% / 反対 49.7%
・どちらともいえない(32.2%)の理由は、「規制されると困る」「居酒屋で喫煙は必須」「経営者が考えれば良い」など

【宿泊施設事業者のインバウンドに対する喫煙環境意識調査】

全国の宿泊施設事業者に対して、インバウンドの増加傾向や対策等に関する意識を調査

■宿泊施設事業者でインバウンドの増加を実感しているのは2割だが、今後の増加や売上貢献には6割が期待。
利用者の中で外国人客の割合、外国人客の増加傾向、今後の売上貢献への期待度を聴取
・外国人客の割合  多い 23.6%
・外国人客の増加傾向  増えてきた 60.3%
・外国人客増加による売上貢献  期待している 60.1%

■外国人にもわかる喫煙ルールの表示を行っている事業者は2割だが、実際に喫煙に関するトラブルを経験したのは約1割と少ない。
施設内における外国人にもわかる喫煙ルールの表示、外国人客の喫煙に関するトラブル経験の有無を聴取
・外国人にもわかる喫煙ルールの表示 表示あり 22.7%
・外国人客の喫煙に関するトラブル 経験あり 12.6%
※うち、具体的なトラブル内容は、禁煙の客室での喫煙等が多い

■外国人観光客を見据え、行政が規制することに対して賛成が4割、反対が3割弱。飲食事業者同様、どちらともいえないという回答の理由は、規制に対する懐疑的な意見が多い。
宿泊施設の喫煙環境に対して、行政が規制を行うことに対する賛否を聴取
・賛成42.5%/反対27.0%
・どちらともいえない(30.6%)の理由は、「お客様の中にも喫煙されたい方がいらっしゃる」「共存は必要」「各ホテルの実情にあわせ、判断するのが良い」「全面禁煙は逆に適当な場所で吸われてしまう」など

調査結果報告書
・JTBグローバルマーケティング&トラベル
外国人観光客の日本に対する 喫煙環境意識調査 結果報告書
・東京都飲食業生活衛生同業組合
飲食事業者のインバウンドに対する 喫煙環境意識調査 結果報告書
・一般社団法人 全日本シティホテル連盟/全国旅館生活衛生同業組合連合会
宿泊施設事業者のインバウンドに対する喫煙環境意識調査 結果報告書

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