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  1. 観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

第9回 理想像を描いているか

※本誌『週刊ホテルレストラン』毎月2・4週に連載中

 観光庁では、自分たちの目指すべき目標を数値化し、その目標を実現することをミッションとして政策を立ててきました。「観光立国を目指す」と言ったところで、何をもって「観光立国」と呼ぶのかは個人の価値観によって異なります。そのモノサシを揃えるためにも、目標を数値に変え、共有しているのです。

 自分たちの目指すべき姿を具体化し、組織内でシェアすることは、リーダーのするべき最初の仕事と言えます。これは、観光庁であれホテルであれレストランであれ同じでしょう。

 この「目指すべき姿」は、自分の構想で作ったものでもいいですが、すでに存在している競合や理想の組織でもいいですね。ホテルであれば、世界的なホテルチェーンであるハイアットを目指すもよし、イタリアの街角にあるような、古き良きクラシックホテルを目指すもよし、シンガポールなどで展開しているカジノやコンベンションを併せ持つIR(Integrated Resort)を目指すもよし。実際に形ある理想像を設定することで、とるべき戦略がより明確になるのではないでしょうか。

 こうして会社としての目標を明確にすることは、若い社員のモチベーションアップにもつながります。今の若い世代は、金銭的なものよりも、情熱や夢に飢えているように感じます。彼らにとっては、給料がいくらかということよりも、自分がいかに社会に貢献できているか、自分がいかに成長しているかといったことの方がモチベーションになるようです。これは会社にとってはチャンスでしょう。彼らを引き付ける求心力があれば、強固な組織を作れるのです。そのためにも、リーダーは彼らに具体的な目標を設定してあげることですね。

 高度成長期を生きた諸先輩たちは、「日本を世界と対等に戦える国にするんだ」と、欧米諸国を目標にまい進してきました。その具体的目標と想いが、日本経済をここまで押し上げたのです。それに対し、今のわれわれは、自分たちが置かれた状態を他人事のように傍観しているだけ。私たちが祖先からたくさんの恩恵を受けてきたように、自分たちの子孫に豊かな国を残さなければなりません。豊かな国 日本を、次の世代にもつなげたい。これが、私の個人的な目標でもあります。
(10月4週号より)

※次のアップは、12月4週に「第11回」を予定しております。
 「第10回」は、ホテレス本誌11月12日号をご覧ください。

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