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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL26 ザ・リッツ・カールトン北京 The Ritz-Carlton Beijing

週刊ホテルレストラン 2012年6月22日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する

 北京には二つのリッツ・カールトンがある。一つは2006年に先行して開業したザ・リッツ・カールトン、フィナンシャルストリート「The Ritz-Carlton FinancialStreet」で、NYのウォールストリートを参考にした北京金融街に立地する。もう一つは今回掲載するザ・リッツ・カールトン北京「The Ritz-Carlton Beijing」(以下RC/北京)で、建設ラッシュに沸くビジネスの中心街、国貿・CBD地区にある。CBDとは、“CentralBusiness District”の略称で、超高層ビルが林立する北京を代表するビジネスエリアだ。地区内には、駐北京外国代表機関、金融・保険・証券会社、会計事務所など世界的企業3000社余りが進出し、世界を代表する高級ホテルも数多く集まっている。また、奇抜な外観で話題の中国中央電視台(CCTV)や北京最高層74階建ての国貿三期(国際貿易センター第三期)もこのエリアにある。

 RC/北京は08年の北京オリンピック開催に合わせて、07年12月に開業を果たした。最近の流行である高層ビルのフロアをホテルに転用する方式ではなく、建物1棟が丸ごとホテルとして設計された。実は同じ敷地内に、JWマリオット北京も1棟全体がホテルとして同年11月に開業している。この同じグループホテルはそれぞれ客層が異なるため効率がよく、二つのホテルは仲良く並んで建っている。1998年にリッツ・カールトンはマリオット・インターナショナルInc.の傘下に入り、02年に元CEOホルスト・シュルツ氏が退任した後に、このようなマリオットとのコラボレーションとして、2軒のホテルが隣あわせて開業することが多くなっている。(本誌Vol 7、Ritz-Carlton, LA Live参照)

 RC/北京はスイートを含む全320室のゲストルームを有し、モダンな印象を受けるリッツ・カールトン、フィナンシャルストリートとは一線を画し、重厚な英国調マナーハウスを彷彿させるインテリア・デザインである。16階にあるクラブラウンジでは1日5回のフード&ビバレッジ・プレゼンテーションがあり、きめ細やかなホスピタリティーでゲストに応対している。最上階17階にはスパ「The Ritz-CarltonSpa Beijing」があり、ジムや古典的雰囲気のスイミングプールで汗を流せる。その他レストラン関係では翡翠(ひすい)をイメージした広東料理のメインダイニング「Yu、玉」、イタリアンの「Barolo」、重厚な雰囲気のメインバー「The Ritz-Carlton Bar」などがホテル2階部分に集まっている。

 北京には上海外灘にあるような重厚感あふれる歴史的な西欧建築があまりない。したがって北京貴賓楼飯店のような中国趣味のホテルは別として、北京飯店B座の系譜を持つクラシカルな「ラッフルズ北京」のような、古い建物を修復したヨーロピアンテイストのホテルは数少ない。RC/北京は新築のホテルではあるが、リッツ・カールトン本来の王道を行く重厚でエレガントな空気に包まれた貴重なホテルといえよう。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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