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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL78
ホテル ミッソーニ クウェート Hotel Missoni Kuwait

週刊ホテルレストラン 2014年8月22日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 近年、有名アパレルブランドがプロデュースするホテルは数多くオープンしている。その中で、あの色使いの魔術師と言われたブランド、“MISSONI” が手がけたホテルはまだ日本ではあまり知られていない。しかも、あの砂漠の国、クウェートと言えばビックリするであろう。そのホテルの名は「Hotel Missoni Kuwait」。イタリアの有名ブランドのミッソーニと「Carlson Rezidor Hotel Group」が手を組み、2011年3月に開業した。ミッソーニといえば、大胆なプリントや豊かな色彩使い、そして独特のボーダーや幾何学模様など。そのイメージのままのエントランスに迎えられ、何やら嬉しくなるようなホテルである。

 クウェートは日本の四国よりやや狭い面積で、クウェート市がそのまま国名になっている。サウジアラビアと匹敵するほどイスラムの戒律を守り、アルコールや一般娯楽が厳しく制限されている。1990 年、突然のクウェート侵攻で一時イラクに占領されたが、後の湾岸戦争により解放された。しかし、街を歩くと未だに戦火の爪痕は残り、オイルマネーに沸く裕福な国という実態は感じられなかった。

 ミッソーニ クウェートはスイートを含め全169室のゲストルームを擁して、新しい複合商業施設「SymphonyCenter」に開業した。館内に一歩踏み入ると、そこはもうミッソーニ・ワールドである。レセプションからロビーラウンジまで、卓越したデザインコンセプトに驚かされる。筆者にアサインされた部屋は「Missoni Room」で、35㎡のやや狭い感じがするがベッドルームからバスタブまで、まさにミッソーニの色彩で溢れている。メインダイニング「Cucina」はオーセンティックなイタリア料理で評価が高い。トップフロアにはオールデイダイニング「Luna」があり、寿司を含めて世界各国の料理が楽しめる。ユニークなのはロビーフロアにある「ChocoCafe」で、えりすぐりのチョコレートとコーヒーをテラス席でも楽しめる。スパ施設にはデザイン性豊かな屋外スイミングプールがあり、そこから「Six Senses Spa」に導かれる。11 室のトリートメントルームやジム、ハマムなどを用意した大規模なものだ。

 ホテルはミッソーニ流の自由な空気に満ちているが、やはりクウェートというお国柄、アルコールの提供は一切禁止されており、当然ながらバーの施設はない。また、異性と滞在する際は結婚証明書の提示を義務付けられている。注)ミッソーニ クウェートはつい最近、前述したカールソングループ傘下の「Symphony Style Hotel Kuwait」と名称変更されたが、施設はすべてミッソーニのまま継承された。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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