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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL62
ザ・リッツカールトンベルリン The Ritz-Carlton, Berlin

週刊ホテルレストラン 2013年12月27日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 1920年代後半、ポツダム広場「Potsdamer Platz」はヨーロッパ経済の中心地の一つであり、ベルリンのナイトライフの中心として繁栄を謳歌していた。第2次大戦後、激しい空爆を受けた広場は東西冷戦の最前線として廃墟と化していた。1961年にベルリンの壁が構築されて以降、ポツダム広場は完全に二つに分断され、賑やかだった交差点も荒涼とした風景に変わってしまった。

 幾多の変遷を経て1989年にベルリンの壁が崩壊しドイツ東西統一後は、首都ベルリンの中心地として再びその賑わいを取り戻した。広場にはダイムラー・シティや「DB」ドイツ鉄道本社ビル、そしてソニーセンターの大規模な複合施設があり、その施設内には世界有数の音楽祭である“ベルリン国際音楽祭”「Berlinale」の主要会場の一つ、シネ・スターやフォーラム、映画博物館などがある。毎年2月に開催される時期になると世界各国からの映画関係者であふれ、ポツダム広場は大いに賑わうことになる。

 ザ・リッツカールトンベルリンは、まさにポツダム広場の中心部に2004年にオープンした。スイート39室を含む全303室のゲストルームを擁し、隣接して「Ritz-Carlton Apartment」の高級レジデンスを併設した大型の近代的ホテルである。筆者にアサインされた部屋は「Executive Suite」で、約58m²の広さを持ちクラブラウンジへのアクセスが付いたスイートだ。図書が飾られた書棚が付随した書斎風のリビングがとても魅力的で、お勧めのスイートと言えよう。残念ながら本来あるクラブラウンジは現在改修工事中であるが、グランドフロア奥にある小粋なサロンで最上の機能を果たしている。館内のレストランには、オールデイダイニング「Brasserie Desbrosses & Terrace」、東洋趣味が漂いアフタヌーンティーが人気のラウンジ「TeaLounge」、そして重厚なメインバー「The CurtainClub」が用意されている。そのほかインドアプールやジャグジー、サウナを備えたウェルネス・エリアとフィットネス・エリアも充実しているが、特に増加しているウエディングセレモニーのニーズに処する対応には目を見張る。

 ザ・リッツカールトンベルリンは地下鉄ポツダム広場駅の前に位置し、さらに周辺部へのアクセスの優位性は目を見張るものがある。前述したソニーセンターや世界最高峰とも言えるベルリンフィルハーモニー「Berliner Philharmonie」の格式を誇る大ホール、ドイツ屈指の名画を所蔵するベルリン国立絵画館「Gemaldegalerie」を含む文化フォーラム「Kulturforum」がホテルから歩いて数分の場所に点在している。開業後、まだ10年も経ていない新築のホテルであるため歴史や伝統といったものはまだないが、その親しみあるホスピタリティーと利便性に高い評価を与えたい。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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