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  1. 世界のリーディングホテル

VOL96 ホテル ロイヤル エヴィアン Hotel Royal, Evian

週刊ホテルレストラン 2015年5月29日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 ナチュラルミネラルウオーター「Evian」誕生の地として世界中に知られるエヴィアン・レ・バンの地に、「HotelRoyal, Evian」は1909 年に開業した。レマン湖を見渡す広大な敷地に建てられたホテルは、イギリス国王エドワード7 世に捧げられたもので、宮殿ホテルのコンセプトを継承した稀けう有なホテルである。ベル・エポック様式のファサードやグスタフ・ジョイメの手による壮麗なフレスコ画など、王室の別荘としての風格が隅々にわたり保存されている。樹木が生い茂る庭園には姉妹ホテルの「Hotel Ermitage」やエヴィアン・マスターズが開催されるゴルフコースも併設され、敷地全体が「Evian Resort」として整備されている。

 エヴィアンの歴史は古く、ローマ時代までさかのぼるといわれる。この地が有名になったのは、18世紀にオルヴェーニュ地方から来たドゥ・レセール伯爵が聖カトリーヌの泉から湧き出る水を飲んでみたところ、以前から悩まされていた持病の腎臓結石がみるみる癒やされたのに気づき、この水を誉めたたえた。その薬効が評判になり“奇跡の泉”と名づけられ、医者たちもこの水を病気の治療に使い始める。これに気づいた土地所有者のカシャ氏は泉を柵で囲み、ビンに詰めて売り出した。これが、“カシャの泉”「Sourcede Cachat」であり、“ エヴィアンの水” の始まりである。

 ホテルロイヤルはスイートを含め全150 室を擁するエレガントな佇まいだ。筆者にアサインされた部屋は約47m²の広さがある「Residence Lake View Room」で、ベランダからは美しいレマン湖と対岸のローザンヌの街が望める。メインダイニングの「Les Fresques」はその名の通り、天井一面に華麗な淡いブルーの色調でフレスコ画が描かれている。カジュアルレストランの「La Veranda」では、ぜひテラス席で自然の息吹を感じて欲しい。バー・ラウンジ「Le Bar 」の天井もフレスコ画で飾られ、特に夜間は照明に純白のカーテンが幻想的に浮かび上がる。スパの「SpaEvian Source」はゴージャスな施設を誇り、納得の充実したメニューがそろっている。うれしいことにプールや屋外ジャグジーの水も、エビアンの源泉が使われている。

 エヴィアンは“ カシャの泉” 以来、ヨーロッパの貴族たちの関心を集めることになり、後にイギリス国王エドワード7 世が持病の痛風治療のためこの地に別荘を建て、ここにホテルの歴史が始まった。2003 年にはG8 エヴィアンサミットが開催され、日本の小泉首相も訪れている。“Artde vivre”、ホテルが標榜する“ 生活は芸術” の言葉通り、まさに贅ぜいたく沢な「粋」を体験できる貴重なホテルと言えよう。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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