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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL67
ホテル ザッハー ザルツブルク Hotel Sacher Salzburg

週刊ホテルレストラン 2014年3月14日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 このホテルの歴史は古く、最初の建物が建設されたのは1866 年まで遡る。アルプスから流れ出るザルツァッハ川の河岸にあり、美しいミラベル公園やモーツァルトの住家も数分の距離にある。対岸の丘に建つランドマークともいえるホーエンザルツブルク城と、麓の大聖堂を中心に開けた旧市街の街並みがホテルから眺められる。ホテルはオーストリアの誇りとして、「Osterreichischer Hof」“ オーストリアの宮廷” の名称で永くザルツブルクに君臨してきた。

 1988年にホテルザッハー ウィーンのオーナーであるギュルトラー・ファミリーがホテルの経営権を買い取り、「HotelSacher Salzburg」の名称に変更した。現在もザルツブルク屈指の名門ホテルとして隆盛を極めている。モーツァルト生誕の街としてザルツブルクは世界的に有名であるが、街の規模に不釣り合いなほど多彩な高級ホテルがある。確かに観光客は多いが、毎年夏に開催される誉れ高き「ザルツブルク音楽祭」を聴きに、世界中から訪れる音楽愛好家を迎える必要からだ。ホテルザッハー ザルツブルクも例外ではなく、プログラム発表の際には社交界の中心ホテルとして、翌年夏の予約は瞬時に満室になるという。

 ホテルザッハー ザルツブルクはスイート5 室を含む全113室のゲストルームを持つ。ホテル館内は中央の階段がトップフロアまで吹き抜けになっていて、天井から差し込む陽光が気持ち良い。歴史を感じさせるレセプションデスクは、吹き抜け階段のちょうど真下に位置している。筆者にアサインされた部屋は「Traditional Junior Suite」で、付随した可愛いテラスからザルツァッハ川の向こうにホーエンザルツブルク城と麗しい旧市街の街並みを望める。ダイニングは伝統的オーストリア料理の「Zirbelzimmer」とインターナショナル料理の「Roter Salon」があり、どちらも川沿いに景色を楽しめるテラス席を用意している。メインバーの「Sacher Bar」では重厚な暖炉が備わり大人の雰囲気で心地よい。ザッハーと言えばやはり“ザッハートルテ”と言う向きには「Cafe Sacher Salzburg」があり、大通り側からもカフェ専用の入口を設けている。

 ホテルは1866年に建てられて以来、有名な夏の音楽祭に参加する著名人が集う、誰もが認める社交界の中心的存在だ。レセプション脇の廊下には音楽界のみならず、各界の著名人がホテルを訪問した際の写真がずらりと飾られている。モーツァルト生誕の美しいバロック様式の旧市街を抜けて、ホーエンザルツブルク城に登ると、眼下に白鳥の羽を広げたような白亜のホテルザッハーが見渡せる。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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