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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL69
ザ・ペニンシュラ バンコク The Peninsula Bangkok

週刊ホテルレストラン 2014年4月11日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

  バンコクの中心部を滔々と流れる大河が母なるチャオプラヤ川だ。ペニンシュラがその対岸にホテル建設を発表した時、メディアの一部は疑問を呈したが、多くはその英断に賞賛の声を上げた。対岸トンブリ地区の将来に大きな可能性を感じ取った訳だ。当時、開発の遅れた川向うに高級ホテルを開業すると言う発想は皆無に等しかった。なぜなら、80年代後半までバンコクには対岸に渡る橋は数本しか無く、交通インフラはまだ開発途上の時代であった。

 ペニンシュラ バンコクは37階建ての高層建築で、W字型にデザインされた端正な姿が印象的だ。1998年の開業後は期待通り、ヒルトン、マリオット、アナンタラなど有力ホテルがこの対岸地域に次々と進出を果たした。また、超高層の高級レジデンスも多数建設され、開業当時の立ち遅れた面影はまったく無い。現在は上記ホテルの渡し船も加わって、各ホテルが意匠を凝らした船に自前のロゴマークとホテル旗を掲げ、チャオプラヤ川対岸と連絡している。

 ペニンシュラ バンコクはスイートを含む全370室のゲストルームを持つ。筆者にアサインされた部屋は上層階に位置する「Grand Deluxe Suite」で、74㎡の広さを持つ。眼下にチャオプラヤ川を見下ろし、バンコク市内を一望する贅沢な雰囲気だ。メインエントランスから館内に入ると気品あるラウンジ「The Lobby」がゲストを出迎える。左手奥に進むとレセプションデスクがペニンシュラ流の目立たぬ場所に置かれている。反対に右手階段を下がると船着き場に向かう回廊となり、途中にお洒落な「PeninsulaBoutique」がある。チャオプラヤ河畔にはテラスレストラン「River Cafe and Terrace」と「The River Bar」があり、背後には芝生の庭園が広がりスイミングプールへと続く。その庭園を借景として1階にバンコク屈指の広東料理「MeiJiang 湄江」が店を構える。プール入口にはアユタヤ古式建築のタイ料理店「Thiptara」があり、細長いプール奥には「The Peninsula Spa by ESPA」のコロニアル風建物が目に付く。館内のトリートメントルームに向かう“ 光の回廊”はエキゾチックな高揚感を演出している。

 川向うの立地というリスクを背負った門出であったが、オリエンタルホテルの喧噪を避けるセレブたちのリピーターが多く訪れ、ペニンシュラのアンビアンスを支えている。また、バンコクの交通渋滞に対処してホテル屋上のヘリポートを活用し、専用ヘリコプターでの空港送迎に力を注ぐ。他方、バンコク名物のトゥクトゥクのペニンシュラ仕様を導入し、小回りの利くサービスも展開している。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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