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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL71
ザ・ダタイ ランカウイ The Datai Langkawi

週刊ホテルレストラン 2014年5月16日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 ランカウイ島の鬱蒼とした熱帯雨林の大自然に溶け込み、ホテルはひっそりと佇んでいる。ホテルの名は「TheDat ai」。それまでのアイランドリゾートはなるべく砂浜や入り江に隣接して、オーシャン・ビューの客室棟を中心にレイアウトしたものだが、ダタイは敢えて手つかずの原生林の中にホテル本体を建設した。周囲の環境を損なわないように配慮された木造の建築、石造りの階段、森の中に点在するヴィラ。あくまで自然との調和を優先した格別のロケーションに多くのメディアが興味を示し、1993年のオープン時はリゾートの新しい形として一世を風靡した。

 タイ国境近く、アンダマン海に浮かぶランカウイ島は希少な動植物や独自の生態系が残る神秘の島だ。マレー語でランカウイのランは鷲、カウイは大理石を意味し、実際に島内にも生息している鷲が島のシンボルとなっている。1980年代後半より政府主導で“ 第二のペナン島” を目指して観光開発が進み、現在は世界各国から観光客が訪れる一大リゾートとなっている。その中でダタイはランカウイ屈指のリゾートホテルとして、多くのセレブリティ―から絶大な人気を誇る緑深い熱帯の「聖域」である。

 からぶき屋根の館内に入ると、ホテルのシンボルである向き合った白馬の像がゲストを迎えてくれる。蓮の花が美しい中心池の向こうに「The Lobby Lounge」があり、眼下に森に囲まれたメインプールとその向こうに紺碧のダタイ湾が望める。筆者にアサインされた部屋は樹木に囲まれた「Superior Villa」というコテージタイプで、ベランダが付いた93m²の広さを持つヴィラだ。ロビー階下には優雅なメインダイニング「The Dining Room」があり、正面のプールを挟んでタイ料理の「The Pavilion」を配置している。ここから崖状の階段を下りジャングルの中を進むと、忽然と「The Datai Spa」の建物が現れ、その先にファミリー用のセカンドプールを用意している。プール脇には「TheBeach Club」があり、軽食やバーベキューを楽しめる。ここから先はアンダマン海の絵のようなビーチが広がり、整然と並んだビーチチェアでゆったりと寛げる。

 ダタイは開業当初よりアマン系高級ホテルグループGHMのフラッグシップホテルとして営業して来たが、2011年より経営・運営権が移行し現在はLHW 傘下のホテルとなっている。“自然への回帰” をテーマに、世界中のホテルラバーズから注目を浴びる極上のホスピタリティーを体験できる。ダタイはまさに、太古の熱帯雨林に抱かれた神秘的な大人の隠れ家リゾートと言えよう。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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