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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL64  シュタイゲンベルガーフランクフルターホーフ Steigenberger Frankfurter Hof

週刊ホテルレストラン 2014年1月31日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 フランクフルト金融街の中心地、カイザー広場に建つ威風堂々とした建物に思わず目を奪われる。円柱に支えられたアーチ型のエントランスを中心に、左右にシンメトリックに広がる荘厳な外観だ。イタリアン・ルネッサンス様式のファサードを持ち、ドイツでも屈指の伝統と格式を誇る「Steigenberger Frankfurter Hof」の建物である。ホテルの歴史は古く、1876 年に250の客室と20 のバンケットルーム、800人を収容するダイニングホールなどを擁して華々しく開業した。フランクフルトで最初に電話を設備し、92年には最初に電気照明を導入するなど当時最先端を行くホテルであった。

 創業以来、ホテルの経営は幾人かの手を経て来たが、その中には“世界のホテル王” セザール・リッツの名前も見受けられる。シュタイゲンベルガー・ホテルズの歴史は1930 年に創業者のアルベルト・シュタイゲンベルガーがバーデン・バーデンの高級ホテル「Europaischer Hof」を買収した事に始まる。現在、「Steigenberger Hotel Group」は傘下に高級ホテル系「Steigenberger Hotels and Resorts」とビジネス系の「InterCityHotels」という2つのホテルブランドを所有している。

 フランクフルターホーフはフランクフルトのランドマークホテルとして培われた歴史があり、館内はヨーロッパの伝統に彩られた豪華な内装でデザインされている。42のスイートを含む全303 室のゲストルームを擁し、正面エントランス右手に店を構えるミシュラン1ツ星レストラン「Restaurant Francais」は市内でいちばんの格式を維持し評価が高い。反対側の左手にはオールデイダイニング「Cafe-Bar-Restaurant Oscar*s」がインナー・コートヤードまで席を設け夏場は終始賑わいを見せる。そのほか、重厚な雰囲気のメインバー「The Autorenbar」、エレガントな空間のシガールーム「The Cigarrum」など施設は充実している。ウェルネス部門のスパ「The SPA」は2013年に大規模なリノベーションが終了し、面積1000m²を誇る市内一の規模でゲストのあらゆるリクエストに応えている。

 フランクフルターホーフは先の大戦で壊滅的損傷を受けたが、戦後見事に復興を成し遂げた。アルベルトの息子エゴン・シュタイゲンベルガーの世代になると彼の手腕も手伝い、1961年には西ドイツで最大規模のグランドホテルにまで成長した。創業以来約140 年に亘ってフランクフルトの“First Lady”として君臨し、ヴィクトリア英国女王を始め各国の元首、王族に愛され、各界から著名人の訪問は今も途切れることはない。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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