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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL72
ホテル メトロポール ハノイ Hotel Metropole Hanoi

週刊ホテルレストラン 2014年5月30日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 フランス統治時代の1901年に創業した、ベトナム屈指の格式を誇るコロニアルホテルである。創業当時は「グランドホテル・メトロポール・ハノイ」と称し、シンガポールのラッフルズを手本としたと言われる。以後、外国人にとってハノイにおける社交場の一大拠点として目覚ましい発展を遂げて行く。54年にベトナムがフランスから解放された後は国営となり、「統一ホテル」と名を変えた。92年に再びフランス資本ソフィテルにより合弁ホテルに生まれ変わり、96年には近くのオペラ座にちなんで新館「OperaWing」が増築された。また、ホテル名は2009年に「SofitelMetropole Hanoi」から「Sofitel Legend Metropole Hanoi」に改名された。これは、ソフィテルにとって“ レジェンド”ブランドに指定した最初のホテルである。

 ホン河(紅河)の河口近くに広がるハノイの街は、ホン河の内側という意味で“河内”(ハノイ)と記されていた。ベトナムでは20 世紀初頭に漢字は廃止されてしまったが、“河内”とは何と情緒的な響きであろう。ベトナム戦争中は反戦運動の旗手、ジェーン・フォンダがホテルに長く滞在をしていた。当時、各国の大使館がこのホテル内に事務所を置き、さながら国連施設と化し、日本大使館も一時期入居していたと言われる。

 メトロポールは旧館の「Historical Metropole Wing」を合わせ、スイートを含めて全364 室のゲストルームを擁する。筆者にアサインされた部屋は新館の「Opera Wing,Grand Premium Room with Club Metropole」で、約48㎡の広さがあり専用のラウンジ「Club Metropole」へのアクセスが付く。レストランでは、正統派のフランス料理「LeBeaulieu」、イタリア料理・ラウンジ「Angelina Restaurantand Lounge」、ベトナム料理「Spices Garden Restaurant」がある。プールサイドでは、バー「Bamboo Bar」とラウンジ「Le Club」で楽しめる。お勧めはカフェ「La Terrassedu Metropole」で、まるでパリの街角を彷彿させる雰囲気が人気だ。スパは温室を思わせる「Le Spa」がプールサイドに洒落た一戸建て感覚で用意され高評価を得ている。

 旧館のヒストリカル・ウィングは100 年前の重厚な雰囲気を今も漂わせている。エントランスホール正面にある階段は当時のオリジナルで、階段の上層階は優雅なラウンジの回廊となり見所の一つだ。一方、新館のオペラ・ウィングはクラシカルなモチーフを用いながら、より現代的な印象のインテリアとなっている。ここは、ベトナムでパリのエスプリを味わえる数少ない貴重なホテルと言えよう。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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